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20年の軌跡、100年の旅(「アジア美術、100年の旅」|福岡アジア美術館)後半

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10月27日は、先週に続き、 福岡アジア美術館 開館20周年記念展「アジア美術、100年の旅」 を学芸員の 趙純恵(チョウスネ)さんにご紹介いただきます。 ===== この番組は、毎週日曜の朝にお届けする、「文化の楽しみ方」が わかる、見つかる、共有できる! カルチャー、アートプログラム、 明治産業プレゼンツ「OUR CULTURE, OUR VIEW」。 あなたの暮らしを豊かにするヒントを、 オリジナルな視点(VIEW)を持ちあわせるゲストとのトークや、 はたまた、パーソナリティが展覧会に突撃したりし、お伝えします。 ===== 先週は、「 アジア美術、100年の旅」の 見どころ を、 鑑賞する直前に解説をいただきました。そして 今週は、番組スタッフが実際に鑑賞し感じたことを、すぐさま、チョウスネさんに聞いていただき、一緒に語っていきます。 アジア23ヵ国を一瞬で旅をした気分になれる、異国情緒を感じられる展覧会。 「東アジア」「東南アジア」「南アジア」の地域色が色濃く表れたインスタレーションを始めとした近現代美術、民俗芸術や大衆芸術など、一挙に公開しています。 事前に、代表的な作品をご紹介いただきましたが、それ以外のものも、それぞれが見て感じたこと、作品からとらえたものを語ります。 なぜそう感じたのか……をチョウスネさんから改めて解説していただくと、「なるほど~」と納得。 番組を通して、スタッフもいろいろな視点で作品をとらえることができるようになっています。 とにかく、三好Pからの『俺の気になった作品』の話が次々に出て……もう、止まりません(笑) そして、今となっては世界的に有名になった作家たちの「昔はこんな活動をしていたのかー」を知れるのも、アジア美術館のコレクションだからこそです。 各地域に共通する、 近代 と 宗教 と 伝統 というキーワードで、見比べて 動向や影響関係、文化的な広がりを見ると、違いもわかり、そして振り返ることができます。これ、この展覧会の裏テーマでもあるそうです。 なにしろ、この形で展示できるのは、もう10年後かな?とチョウスネさんが言う作品がたくさん揃っています。 インスタレーションに関しては、 「思い出したくないくらい設営が大変だった。」 そうです……。 そして、皆さんへ

20年の軌跡、100年の旅(「アジア美術、100年の旅」|福岡アジア美術館)前半

10月20日は、 福岡アジア美術館 開館20周年記念展「アジア美術、100年の旅」 事前解説編として、番組スタッフが作品を見る前に、 学芸員の 趙純恵(チョウスネ)さんにお話しを伺います。 ++++++ この番組は、毎週日曜の朝にお届けする、「文化の楽しみ方」が わかる、見つかる、共有できる! カルチャー、アートプログラム、 明治産業プレゼンツ「OUR CULTURE, OUR VIEW」。 あなたの暮らしを豊かにするヒントを、 オリジナルな視点(VIEW)を持ちあわせるゲストとのトークや、 はたまた、パーソナリティが展覧会に突撃したりし、お伝えします。 ++++++ 1999年に開館した、 アジアの近現代美術を専門的に紹介する世界に唯一の美術館、「 福岡アジア美術館 」。 その20周年を記念する 「アジア美術、100年の旅」を、 番組2回目の登場となるチョウスネさんにご紹介いただきます。 チョウスネさんには、この番組が始まったばかりのころに、ご自身のプライベートなお話しも伺い、 そのお話しの内容から、番組の一つのスタイルを見出したという、ともやすさん。 旅をしているような感覚で、歴史を辿ることができると聞き、 色とりどり のチラシから、 どんな感じで展覧会が展開されるのかワクワクしています。 まずは、今年二十歳を迎えた、福岡アジア美術館が生まれるにいたった歴史や、福岡市美術館、アジア太平洋博覧会などの繋がり、今この作品がこの美術館に収集されるまでの流れなどをお聞きした後に、展覧会の解説をいただきました。 チョウスネさん  アジア美術館の所蔵の作品のほとんどが、20世紀初頭から今日までの100年間に制作された作品であり、その作品を通して広範なアジア美術をめぐる時間と空間の旅を提案するということから、今回 アジア美術100年の旅 という壮大なタイトルがつけられました。 その第1部では「東アジア」「東南アジア」「南アジア」の重要な近現代美術に加え、それぞれの地域色が濃く表れた作品、さらに民俗芸術、大衆芸術などが紹介されています。 解説いただいた作品の一部を紹介。 「東アジア」では、 ウ・ティエンチャン(呉天章) 。 台湾の1950年代に撮られたレトロな写真をベースにした大型の

作品の裏ストーリーから楽しむアート【ギュスターヴ・モロー展 サロメと宿命の女たち】(福岡市美術館)

10月13日の放送は、「作品の裏ストーリーから楽しむアート」と題して、10月1日から福岡市美術館で開催中の特別展『ギュスターヴ・モロー展 サロメと宿命の女たち』を、先週に続き、学芸員の忠あゆみさんにご紹介いただきます。 ================ この番組は、毎週日曜の朝にお届けする、「文化の楽しみ方」が わかる、見つかる、共有できる! カルチャー、アートプログラム、 明治産業プレゼンツ「OUR CULTURE, OUR VIEW」。 あなたの暮らしを豊かにするヒントを、 オリジナルな視点(VIEW)を持ちあわせるゲストとのトークや、 はたまた、パーソナリティが展覧会に突撃したりし、お伝えします。 ================  先週は、フランス象徴主義を代表する画家ギュスターヴ・モローと言う作家について、そして代表作「出現」について解説いただきました。 今週は、ファム・ファタール(宿命の女)の側面、モローが追及していった技法などについてお話しを伺います。 第3章 宿命の女たち 19世紀末に、男性を誘惑し、翻弄し、時に命すら奪う魅惑的な女性、ファム・ファタール(宿命の女)という女性像が流行しました。 「出現」のサロメがファム・ファタールを具現化したものとして、評価されたのが、モローの人気の所以だったようです。 第3章では、その他のたくさんのファム・ファタールと言える、魅惑的で危険な女性が描かれています。 忠さん  ギリシャ神話を始めとする、たくさんの物語に登場する女性たちが出てくるのですが、その数の多さにモローの造詣の深さを感じます。 強い女性を軸に、モロー独自の解釈で描かれていますが、会場には、その女性がどんな物語を背負っているのかという解説がついているので、それと比べながら、見る方々にそれぞれ解釈していただきたいなと思います。 ともやす  色使いが鮮やかですよね。 忠さん  色の塊を効果的に使う画家だと思いますね。 色彩の洪水というか……。一見暗いように見える絵も、じっくり見ていくと画面の端々に、いろんな色が散りばめられています。 印象派と同じ時代の作家なので、同時代的な新しさ。いろいろと解釈しながらできていったのではないでしょうか。 第4章 《一角獣》と純潔の乙女 清らかな乙女にしか手懐けられないと言

作品の裏ストーリーから楽しむアート【ギュスターヴ・モロー展 サロメと宿命の女たち】(福岡市美術館)

10月6日の放送は、「作品の裏ストーリーから楽しむアート」と題して、現在、福岡市美術館で開催中の展覧会『ギュスターヴ・モロー展 サロメと宿命の女たち』を、学芸員の忠あゆみさんにご紹介いただきます。 ====== この番組は、毎週日曜の朝にお届けする、「文化の楽しみ方」が わかる、見つかる、共有できる! カルチャー、アートプログラム、 明治産業プレゼンツ「OUR CULTURE, OUR VIEW」。 あなたの暮らしを豊かにするヒントを、 オリジナルな視点(VIEW)を持ちあわせるゲストとのトークや、 はたまた、パーソナリティが展覧会に突撃したりし、お伝えします。 ====== 神話や聖書をテーマにした作品で知られるフランス象徴主義を代表する画家、ギュスターヴ・モロー。その素顔は謎めいていると言われています。 友人たちからは、”パリの真ん中に引きこもった神秘家”と言われたほど、引っ込み思案で、頭の中で創作の世界を広げていくというタイプ。決して社交的ではなかったそうです。 そんなモローですが、美術学校の教師をしていた時の教え子には、後の20世紀絵画の作家として有名な、マチスやルオーなどがいるそうですよ。 時代は19世紀。科学が発展し、蒸気機関車や電話が発明され、産業の発展と共に、現実主義、物質主義の潮流にあり、目で見えない世界が軽んじられるようになってきたときに、モローは 幻想的な内面 を描くことで、真実を見出そうとしました。 その真逆に印象派と言われる作家たちがいます。 光学が発展し、光の印象を写すために点描を使い、 目に見える物を、目に見えたように写す ことの新しさを追及していったのが印象派です。 肖像写真が撮られ始めたのがこの頃だそうです。 忠さん  モローが言った印象的な台詞に、「自分は手に触れるものも、目に見えるものも信じない。見えないもの、ただ感じるものだけを信じる」というのがあります。 モローにとって、芸術が目指すものは現実ではなく、現実の皮をはぎ取ったその奥に芸術が表すべきものがあると考えていたのではないでしょうか。 では、今回の4章で構成される展覧会のお話しを聞いていきます。 第1章 モローが愛した女たち 生涯独身であったモローが、母や、長年連れ添った恋人との交流を伝える素描や手紙から、描かれた女性だけで