作品の裏ストーリーから楽しむアート【ギュスターヴ・モロー展 サロメと宿命の女たち】(福岡市美術館)
10月13日の放送は、「作品の裏ストーリーから楽しむアート」と題して、10月1日から福岡市美術館で開催中の特別展『ギュスターヴ・モロー展 サロメと宿命の女たち』を、先週に続き、学芸員の忠あゆみさんにご紹介いただきます。
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先週は、フランス象徴主義を代表する画家ギュスターヴ・モローと言う作家について、そして代表作「出現」について解説いただきました。
今週は、ファム・ファタール(宿命の女)の側面、モローが追及していった技法などについてお話しを伺います。
第3章 宿命の女たち
19世紀末に、男性を誘惑し、翻弄し、時に命すら奪う魅惑的な女性、ファム・ファタール(宿命の女)という女性像が流行しました。
「出現」のサロメがファム・ファタールを具現化したものとして、評価されたのが、モローの人気の所以だったようです。
第3章では、その他のたくさんのファム・ファタールと言える、魅惑的で危険な女性が描かれています。
忠さん ギリシャ神話を始めとする、たくさんの物語に登場する女性たちが出てくるのですが、その数の多さにモローの造詣の深さを感じます。
強い女性を軸に、モロー独自の解釈で描かれていますが、会場には、その女性がどんな物語を背負っているのかという解説がついているので、それと比べながら、見る方々にそれぞれ解釈していただきたいなと思います。
ともやす 色使いが鮮やかですよね。
忠さん 色の塊を効果的に使う画家だと思いますね。
色彩の洪水というか……。一見暗いように見える絵も、じっくり見ていくと画面の端々に、いろんな色が散りばめられています。
印象派と同じ時代の作家なので、同時代的な新しさ。いろいろと解釈しながらできていったのではないでしょうか。
第4章 《一角獣》と純潔の乙女
清らかな乙女にしか手懐けられないと言われている空想上の動物一角獣を、安らいでいる美しい女性と描いています。
ともやす 色の印象もこれまでのファム・ファタールとは違う、優しい印象ですね。
同じ時期に、同じ人が手掛けたと思えないくらい対照的です。
忠さん 裏表の存在なんですが、清らかで触れてはいけない物としての女性と、その清らかさゆえに男性を惑わせ狂わせるファム・ファタールと同じで裏返しなのかもしれないと思います。
ともやす 両方あってこその女性という感じなんでしょうか。
忠さんが今回特に目を引かれる作品はどれですか?
忠さん 第2章の「出現」の習作にあるひとつで、頭の中のプロセスをたどれるような作品があります。筆の勢いが激しくて、サロメの心の動揺や物語の奥行が見えてくるような作品です。それがとても好きです!
第2章のプロセスが見えるコーナーは、真実を描こうとするモローの頭の中にある場面を形にするまでの、もがいている姿がよくわかります。
ぜひ実物をご覧いただいて、モローの人となりにもっと近づいていただければと思います。
会期中のギャラリートークもどうぞお楽しみに。
また、モロー展と同時時期に「博多の仙厓さん」でおなじみの「仙厓―小西コレクション」も開催中です。
こちらも合わせてお楽しみください。
「ギュスターヴ・モロー展 サロメと宿命の女たち」
■福岡市美術館 (福岡市中央区大濠公園1-6)
■会期:10月1日(火)~ 11月24日(日)9:30~17:30
※10月の金・土曜日は午後8時まで(入館は閉館30分前まで)
■休館日:毎週月曜日
※ただし10/14(月・祝)、11/4(月・振休)は開館。
10/15(火)、11/5(火)は休館
■観覧料:一般1,500円、高大生800円、小中生500円 ※前売りは200円引
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今週は、ファム・ファタール(宿命の女)の側面、モローが追及していった技法などについてお話しを伺います。
第3章 宿命の女たち
19世紀末に、男性を誘惑し、翻弄し、時に命すら奪う魅惑的な女性、ファム・ファタール(宿命の女)という女性像が流行しました。
「出現」のサロメがファム・ファタールを具現化したものとして、評価されたのが、モローの人気の所以だったようです。
第3章では、その他のたくさんのファム・ファタールと言える、魅惑的で危険な女性が描かれています。
忠さん ギリシャ神話を始めとする、たくさんの物語に登場する女性たちが出てくるのですが、その数の多さにモローの造詣の深さを感じます。
強い女性を軸に、モロー独自の解釈で描かれていますが、会場には、その女性がどんな物語を背負っているのかという解説がついているので、それと比べながら、見る方々にそれぞれ解釈していただきたいなと思います。
ともやす 色使いが鮮やかですよね。
忠さん 色の塊を効果的に使う画家だと思いますね。
色彩の洪水というか……。一見暗いように見える絵も、じっくり見ていくと画面の端々に、いろんな色が散りばめられています。
印象派と同じ時代の作家なので、同時代的な新しさ。いろいろと解釈しながらできていったのではないでしょうか。
第4章 《一角獣》と純潔の乙女
清らかな乙女にしか手懐けられないと言われている空想上の動物一角獣を、安らいでいる美しい女性と描いています。
ともやす 色の印象もこれまでのファム・ファタールとは違う、優しい印象ですね。
同じ時期に、同じ人が手掛けたと思えないくらい対照的です。
忠さん 裏表の存在なんですが、清らかで触れてはいけない物としての女性と、その清らかさゆえに男性を惑わせ狂わせるファム・ファタールと同じで裏返しなのかもしれないと思います。
ともやす 両方あってこその女性という感じなんでしょうか。
忠さんが今回特に目を引かれる作品はどれですか?
忠さん 第2章の「出現」の習作にあるひとつで、頭の中のプロセスをたどれるような作品があります。筆の勢いが激しくて、サロメの心の動揺や物語の奥行が見えてくるような作品です。それがとても好きです!
第2章のプロセスが見えるコーナーは、真実を描こうとするモローの頭の中にある場面を形にするまでの、もがいている姿がよくわかります。
ぜひ実物をご覧いただいて、モローの人となりにもっと近づいていただければと思います。
会期中のギャラリートークもどうぞお楽しみに。
また、モロー展と同時時期に「博多の仙厓さん」でおなじみの「仙厓―小西コレクション」も開催中です。
こちらも合わせてお楽しみください。
「ギュスターヴ・モロー展 サロメと宿命の女たち」
■福岡市美術館 (福岡市中央区大濠公園1-6)
■会期:10月1日(火)~ 11月24日(日)9:30~17:30
※10月の金・土曜日は午後8時まで(入館は閉館30分前まで)
■休館日:毎週月曜日
※ただし10/14(月・祝)、11/4(月・振休)は開館。
10/15(火)、11/5(火)は休館
■観覧料:一般1,500円、高大生800円、小中生500円 ※前売りは200円引