演劇Never die(ゲスト:非・売れ線系ビーナス 田坂哲郎さん)

6月14日のゲストは、番組2回目の登場、劇団「非・売れ線系ビーナス」主宰の田坂哲郎さんです。
劇団を立ち上げるまでのことなど、田坂さんご自身のことは、前回ご出演のときにお話いただいてますので、ぜひこちらもどうぞ。
今回は、この時期の演劇界のお話を伺っています。

+++++
この番組は、毎週日曜の朝にお届けする、
「文化の楽しみ方」が わかる、見つかる、共有できる! 
カルチャー、アートプログラム、 明治産業プレゼンツ「OUR CULTURE, OUR VIEW」。 
あなたの暮らしを豊かにするヒントを、 オリジナルな視点(VIEW)を持ちあわせるゲストとのトークや、 はたまた、パーソナリティが展覧会に突撃したりし、お伝えします。
+++++

―ともやす いわゆるコロナ禍と言われるこの時期、劇団の方々、演劇界はどんなかをお聞きしたいのですが。

―田坂 僕個人は、ちょうど大きな舞台が終わったタイミングで、元々3月4月は次の公演のための準備期間だったんです。ですから、予定していたものがバタバタとなくなるという感じではなかったです。ただ、この期間に予定していた制作が、今ストップしてしまって再開できずにいます。

―田坂 うちの劇団員たちは、元々客演が多い時期だったので、予定がつぶれっちゃったりはしています。
劇場も開いてない、稽古場も開いていないので、練習もできない、
そもそも集まることもできない。

俳優や劇作家、演出家も大変ではあるけれど、さらに、舞台美術、音響照明の人たちが大変だろうなと思います。


-------
演劇界も、この時期だからこそやれる企画がいくつか立ち上がって、それに田坂さんも参加されたそうです。その一つが、47都道府県の劇作家がリレー形式で1ページずつ書き、作品にするという『47都道府県戯曲リレー』。

―田坂 ほとんど初めましての方々だらけで、どんな人がいるかがわからない中、発起人の長崎県の荒木君が1ページ目を書き始め、都道府県の五十音順に書いていきました。
福岡は割と最後のほうで、物語が出来上がりつつある中に、まだ回収されていない伏線を探したりと、普段しない本の読み方をしました。
最初この人、重要人物で出てきていたのに、20ページくらいでてきないなーとか(笑)
47人違う人が書いてますから。
普通は、物語に緩急があるんですが、47人が書くと、全員が爪痕残したいですから、ずーっと小山が続くんです(笑)
まあ面白かったですねー。

―ともやす 一言で演劇人っていっても、普段どういう内容を手掛けているかで、全然違うじゃないですか。前衛劇団の方もいらっしゃるでしょうし……。
すごいことをやりましたね。

―田坂 そうなんですよ。そんな中、先日47都道府県無事完走しまして、今度はオンラインでリーディング公演をしようと進んでいます。

-------
オンラインでの公演だと、一度も会わずに、稽古も自宅からということになり、逆に、全国各地から、いろんな俳優さんが集まることが可能なると田坂さん。

―田坂 「演劇とはなんぞや」というのを考えさせられた時間でもありますね。
その場で演じているものを、その場で見るというのが、演劇映像の違いだとすると、どんなに定点カメラ、ワンテイクで、編集NGのように、演劇によった撮り方をしても、映像になった時点で、それは映像作品。演劇っぽいけど、そういう撮り方をした映像作品であって、演劇ではないんですよね。
それで最近流行っているのが、zoom作品なんです。

―ともやす アーカイブが残る・残らないは関係ないですか。

―田坂 アーカイブは、期間限定で残していたりするんですが、アーカイブを見ると、それは映像になってしまうんですよねー。
上演作品を映像で見る劇シネなんかは、文化として定着しているので、そのこと自体に違和感を覚えるわけではないんですが。

―三好P そのことよりも、遠隔の人達が同時に演じて、それを同時に見るということのほうが、むしろ新しかったということですよね。

―田坂 そうですね。今、それでどうおもしろいことができるのかを考えている人がいるんだと思います。

―田坂 これから、新しい演技の方法っていうのが、模索されていくんだと思います。
zoomでお芝居するのに適した演技法みたいなものが、そういうのが得意な人たちの手によって、構築されていくんだと思いますよ。

―三好P おもしろいですね。これからは演劇学校に、zoomパフォーミングメソッドとかできてたりして(笑)

―田坂 そもそも目が合わないということが、今までと全然違うんで(笑)
演劇の教科書の1ぺ―ジ目って、目を合わせることからやるんです。
zoomの公演は、目が合わない前提で始まるので、じゃあ、何を合わせるんだっていう(笑)

―田坂 zoomだと同時には発声できないという、この制約をいかにそう見せないように、日常会話のように見せるか、という技術が生まれていくかもしないし。
ラジオドラマなどは重ならないようにするので、ゼロから言うよりは、今まで別分野であったメソッドが入ってくるという感じになるかもしれないです。

―ともやす いろんな方のアイディアがつながって、もう生まれているんですね。
田坂さんの「非・売れ線系ビーナス」的には、今後どんな活動になりそうですか。

ー田坂 7月に新作をやる予定でしたが、それがなくなったので、その新作ができていく過程を、オンラインリーディングのような形で、お客さんに見ていただき、感想をもらいながら本の改稿を重ねていく、みたいなことをやってみようかと。
ただ、ものすごく難しいのは、お金の問題で。
チケット代を、どういう形で発生させるのかというのは、みんな悩みつつ、いろんな方法をとっているんだと思います。

---------
ーともやす 田坂さんが最近見聞きした中で、「うわ!これやられたなー」みたいなのありましたか?

ー田坂 zoom演劇、リモート演劇専用の劇団ていうのが、もうすでにできていました。
劇団「ノーミーツ」っていうんですが、
会わない「no meets」
密ではないの「no密」
中味は「濃密」であるという意味があって、
この時期にこのネーミングは、やられたと思いました。

-------------
この状況を、逆手にとって楽しんでやろうと人たちが、演劇界にはたくさんいるので、フェイスシールドをつけていないと成立しない設定でのお芝居とか、しゃべらないとか。
(満席にできない制限がある中で)客席のスカスカさを逆手にとってなにかできないかなど、いろいろ考えているそうです。
変わっていく演劇も楽しみです。


最後に田坂さんより、
―田坂 演劇のことを忘れないで下さい。忘れられないように、我々はがんばっているので。
でも、やっぱり最終的には、劇場・舞台で、お客さんと同じ空間、時間を共有しながら、作品を作り上げていくということに、かなうものはないと思っています。
その時がくるまで、我慢だなという感じです。


ぜひradikoのタイムフリー機能でお楽しみください。 
また、この内容はYouTubeポッドキャストでも配信しています。
 
 ******* 発信局:LOVE FM(http://lovefm.co.jp/) 
放送エリア:福岡県全土、熊本、長崎、佐賀、大分、山口の一部と九州北部     
福岡局76.1MHz 北九州局82.7MHz 福岡タワー局 82.5MHz      
パーソナリティ:佐藤ともやす        
放送日時:毎週日曜日 10:30-11:30

このブログの人気の投稿

アートディレクター齋藤さんが伝えたい、これからのアートのこと(ゲスト:sponge 齋藤一樹さん)

行ってみよう!美術館散歩《久留米市美術館編》(ゲスト:学芸員 佐々木奈美子さん)

文具&雑貨カルチャー(ゲスト:(株)ハイタイド広報尼田真理子さん)