映画の経済を絶やさない!「仮設の映画館」後半(ゲスト:映画作家 想田和弘さん)
5月17日は、映画作家の想田和弘監督に、オンラインインタビューにて、新型コロナウイルスの影響で停滞している「映画の経済」を回復させる試み『仮説の映画館』と、観察映画『精神0』についてお聞きしました。
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前半では、映画配給会社『東風』と想田監督で取り組まれた、『仮設の映画館』のお話をお聞きしました。後半は、観察映画についてお聞きします。
1970年栃木県足利市生まれ。東京大学文学部卒。
スクール・オブ・ビジュアル・アーツ卒。
93年からニューヨーク在住。映画作家。
台本やナレーション、BGM等を排した、自ら「観察映画」と呼ぶドキュメンタリーの方法を提唱・実践。
<ホームページより>
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放送は、radikoのタイムフリー機能でお楽しみください。
また、この内容はYouTube・ポッドキャストでも配信しています。
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-ともやす 監督の観察映画、『精神0』の内容についても、うかがっていきたいと思うのですが……
-想田和弘監督(以下、想田) 観察映画とは、台本を作らずにカメラを回して、カメラを回しながら、目の前の現実をよく観察する。
よく見る、よく聞く。そこで、発見したことをもとに映画を作ります。
ナレーションやBGMを使いません。
-ともやす ドキュメンタリー作品だと、キャプションやナレーションで状況説明があったりするものですが、『精神0』も、『精神』も、まったく違いますもんね(笑)
-想田 どうですか?説明がない分どんな体験になりましたか?
-三好P 映画体験の『よく見る』ということが、こんなにもスリリングで、こんなにも、いろんな物語を引き連れてくるんだということを、改めて感じました。
僕は、猫のシーンを見たときに、観察映画のゾーンに入った!と感じました。
あの猫がいろんなものの象徴に感じたましたし、観客にいろんなことの読み込みを許容する、そういう余白がある豊かさを改めて感じて、映画見るのって本当に面白いなと思いました。
-想田 普通のドキュメンタリーだと、猫が映れば、その猫の説明。精神科医の山本先生が映れば、そのプロフィールや思いが、ナレーションなどで流れるですが、そういうのは一切しません。
そうすると、観客のみなさんが、この人はなんだろう?と、注意深く見て、そこから想像しないといけない、これを「観察眼が起動する」というんですが。
ご自分の観察眼を起動させて、この人はこういう会話をしているから、精神科医なんだろうというような、能動的な作品との向き合い方が、理想的な鑑賞の在り方なんではないかと思っています。
ー三好P この題材と観察映画というスタイルの相性がいいと思います。
診察室で、自分自身が、山本先生になった気分で、患者さんの一言、一言、一挙手一投足を
とても注意深く、傾聴して、見て、どういうことを言ってあげたらいいんだろうと考えて。
これは、なかなかできない追体験だなと思いました。
これは、なかなかできない追体験だなと思いました。
-想田 ありがとうございます。まさにそういう体験をしてもらいたいんです。
情報を伝えるものと思われがちな、ドキュメンタリーなんですが、僕は、情報には興味がなくて、体験を伝えたいんです。
あたかも自分がその場面に、放り込まれたような体験をしてもらえるのが、一番うれしいんです!
そこから何を考え、何を感じるかは、ひとりひとり違っていいんです。
自由に見てほしい。
-ともやす 中盤から山本先生対する感情が高まりました。山本先生大変だな~と。
-想田 それは、僕の感情を追体験しているかもしれませんね(笑)
-三好P ラストカットはすごいですねー、あの数分が。
あまり詳しくは言えませんが、二人が手を結んで歩いていく。あそこの物語の情報の多さは、めまいがするくらいでした。
ー想田 僕も、取っているときに、これがラストになるだろうなと確信していました。
それくらい、僕自身も心を動かされました。
-ともやす これ劇場で見たら、しばらく動けなかったんじゃないかと思います。
-三好P 会って開口一番が「泣いちゃったよ」でしたもんね(笑)
-想田 僕自身も、カメラを回しながら、何度も泣いてしまいました。
映っている方々の力だと思うんです。
-ともやす これ、実験者効果というのでしょうか。そういうのはありませんか。
-想田 撮っているときにいろんな雑念が浮かぶこともありますが、それを取り払っています。
このシーンを、こういう風に使おうというのは、未来のことであって、観察というのは、今、この目の前の現実しか、観察できない。
未来のことは観察できないんです。
今、ここに意識が下りてくる。そうすると、未来のことは自然に消えていきます。
今ここの目の前に現実に意識を集中させていく。
そうして、予定調和、潜入感というものをできるだけ排除していく。
とにかく目の前の現実が誘導していく方向に、映画が自然に流れていくのが理想です。
-三好P この作品を見ること自体が、今の思い通りにならないこの状況を生き抜くための姿勢のようなものを得られる、そんな内容なんですよね。
この時期にこの映画を、それも『仮設の映画館』という取り組みで見られるというのは、やはりなにか、タイミングというものがあるなーと思いました。
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ともやすさんは、これをきっかけに、想田監督に興味を持ち、著書なども調べたといいます。
国際的な賞も数々受賞している、想田監督の最新作、2人が感動の映画体験をしたという『精神0』、ぜひご覧ください。
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想田和弘(そうだ・かずひろ)監督1970年栃木県足利市生まれ。東京大学文学部卒。
スクール・オブ・ビジュアル・アーツ卒。
93年からニューヨーク在住。映画作家。
台本やナレーション、BGM等を排した、自ら「観察映画」と呼ぶドキュメンタリーの方法を提唱・実践。
<ホームページより>
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また、この内容はYouTube・ポッドキャストでも配信しています。
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