ルネ・ユイグのまなざし「フランス絵画の精華」(九州国立博物館)前半

2月23日は、今年最初の放送「ARTNE選!2020年前半!見に行くべき展覧会はこれだ!特集」でも、ご紹介した、『ルネ・ユイグのまなざし フランス絵画の精華』を九州国立博物館からお届けします!
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この番組は、毎週日曜の朝にお届けする、
「文化の楽しみ方」が わかる、見つかる、共有できる! 
カルチャー、アートプログラム、 明治産業プレゼンツ「OUR CULTURE, OUR VIEW」。
あなたの暮らしを豊かにするヒントを、 オリジナルな視点(VIEW)を持ちあわせるゲストとのトークや、 はたまた、パーソナリティが展覧会に突撃したりし、お伝えします。 
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九州国立博物館にて、特任研究員の臺信祐爾さんにお話しを伺いました。
『ルネ・ユイグのまなざし フランス絵画の精華』、九州国立博物館のホームページに
画像とともに、作品がいくつか紹介されていますので、ぜひ、そちらをご覧いただきながら、放送をお聞きになると、より楽しめるのではないかと思います。

フランス絵画の17世紀の古典主義、18世紀のロココ、19世紀の新古典主義、ロマン主義を経て、日本でも人気の印象派誕生までの流れをたどる展覧会。

フランスの美術史家で、若くしてルーブル美術館の絵画部長などを務め、当時、無名だった、東京富士美術館のコレクション形成に、大きくかかわったということでも有名な、故ルネ・ユイグ氏への敬意を込めて開かれます。
ルネ・ユイグ氏、日本とフランスの文化交流に多大な貢献をした方です。

この展覧会は、時代ごとに章が分かれています。
まず、デッサンの17世紀と言われる【第1章】では、1648年に王立美術アカデミーが創設され、古典主義美術「大様式」が育まれた背景をご紹介します。色彩よりもデッサンが重視された時代です。

―九州国立博物館 特任研究員の臺信(だいのぶ)さん(以下、臺信)
当時フランスは、美術の後進国。イタリアやオランダ、ベルギーの影響をうけ、ギリシャ、ローマの古典文学、神話、聖書を題材にして、多くの人物が描かれました。
身振り手振りがはっきりしている、知性、理性に訴えかけるような内容を持った物語を描いた大型の作品の歴史が完成したのが17世紀です。

フランスの画家、ニコラ・プッサンの『コリオラヌスに哀訴する妻と母』は、シェイクスピアの戯曲にもある有名な話、古代ローマの将軍、コリオラヌスの絵です。手前にいる人々、少し奥の主人公と画面の奥行を感じられるし、それぞれの身振り手振りや、その顔つきが、物語を語っています。

―三好P 画面がかっちり完成されている、出来上がった絵画として感じる作品ですよね。

―臺信 当時も、当然物語を知っている人が見ていたわけだし、知らない我々でも、少しの解説でこの絵の人々の心の動きが分かるのではないでしょうか。


続いて 色彩の18世紀と言われる【第2章】。ここでは、ロココ美術をご紹介します。王立美術アカデミーを創設した「太陽王」と呼ばれたルイ14世は、豪華絢爛なイメージを持つ「ベルばら」で知られる、ヴェルサイユ宮殿に宮廷を移転させました。


―臺信 構図、デッサン優先から、柔らかい色彩や、人々の微妙な感情のやりとりに興味が向いていった時代です。

―三好P 先ほどのプッサンなどの作品よりも、人間の存在がある。作家の存在、描かれている対象の人間のドラマみたいなものがあったり、美意識が少しずつ変化していっているのを感じますね。


この頃、サロンと呼ばれる展覧会が定期的に開かれ、肖像画、風俗画や風景画がもてはやされるようになりました。
なかでも、王妃マリー・アントワネットお気に入りの女流肖像画家ヴィジェ・ルブランは、典雅な肖像画を数多く描いています。


―臺信 その代表、マリー・アントワネットのお気に入りの女性画家、ヴィジェ・ルブランの作品『ポリニャック公爵夫人』は、麦わら帽子で、羊飼い風の田園風と呼ばれる流行のファッションで、おそらく宮廷では許されない柔らかいドレスをまとって、リラックスした人間味を感じます。

―ともやす 女性画家の地位ってどうだったんでしょう

―臺信 17世紀の終わりくらいから、貴族の女性たちの間で芸術家や文芸家を招いてのサロンが盛んになっていますので、女性の社会参加につながるきっかけを作った時代でもあるでしょうね。

―ともやす 風景に注目した絵もこの時代にはあるんですね。

―臺信 17世紀の大様式では、ギリシャ神話に基づくエピソードが混じった風景表現であって、風景表現そのものへの興味は弱かったのですが、18世紀になると、自然の表現、光の変化、人々の生活ぶりに興味が変わっていったような感じがあります。

―三好P 18世紀というのは新しい時代のムード、社会の寛容さ、広がりが出た時代だったのでは、と感じました。

―ともやす 第1章から、第2章だけでもはっきりと違いが分かりましたし、
ぜひご覧いただいて、その違い感じていただきたいと思います。


今週は、第2章までで時間となりました。
続く、第3章、第4章は、次週。

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ルネ・ユイグのまなざし 特別展「フランス絵画の精華」 大様式の形成と変容
【九州国立博物館】 
会期:令和2年2月4日(火)~3月29日(日)
休館日:月曜日
    ただし2月24日(月・休)は開館、2月25日(火)は休館
開館時間:日曜日・火曜-木曜日
                9時30分-17時00分(入館は16時30分まで)
                金曜日・土曜日(夜間開館)
                9時30分-20時00分(入館は19時30分まで)
観覧料:一 般 1,600円(1,400円)高大生 900円(700円)小中生 500円(300円)
    (夜間割引料金)一 般 1,400円 高大生 700円 小中生 300円
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また、この内容はYouTubeでも配信しています。 

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発信局:LOVE FM(http://lovefm.co.jp/) 
放送エリア:福岡県全土、熊本、長崎、佐賀、大分、山口の一部と九州北部     
福岡局76.1MHz 北九州局82.7MHz 福岡タワー局 82.5MHz 
パーソナリティ:佐藤ともやす 
放送日時:毎週日曜日 10:30-11:30

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