「挑む浮世絵 国芳から芳年へ」事前解説編(福岡市博物館)

今週は、現在福岡市博物館で開催中、特別展『挑む浮世絵 国芳から芳年へ』を特集しました!
名古屋市博物館の豊富な浮世絵コレクション、およそ150点と福岡市博物館所蔵の浮世絵で構成される展示の見どころを、学芸員の佐々木あきつさんにお聞きします。

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この番組は、毎週日曜の朝にお届けする
「文化の楽しみ方」が わかる、見つかる、共有できる! カルチャー、アートプログラム、
 明治産業プレゼンツ「OUR CULTURE, OUR VIEW」。
あなたの暮らしを豊かにするヒントを、 オリジナルな視点(VIEW)を持ちあわせるゲストとのトークや、 はたまた、パーソナリティが展覧会に突撃したりし、お伝えします。
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まずは、浮世の歴史についてお聞きします。
私たちが知っているカラフルな浮世絵(錦絵)は、18世紀の半ばから一般的になってきたといいます。
その後、一部の上流階級の文化人だけのためだった浮世絵が、庶民にまで広がったのは19世紀幕末の頃。そうなると教養が必要な読みときのものではなく、画面の迫力重視になり、楽しまれ方も変わってきたそうです。

―ともやす それまでは、物語の一場面を描いたものが多かったのでしょうか?

―佐々木さん それも読み解いていかなければ、どの物語の一場面かが分からないような知的な遊びを必要とするようなものが多かったようです。

―ともやす それが、幕末になってくると、ブロマイドのような感じになってきた?

―佐々木さん そうです!女性も絵を買えるようになってくると、女性向けの絵、いわゆるイケメンが描かれたり。
遊女の絵が描かれると、その髪形が江戸の女性たちの間で流行ったりと、今でいう新聞であり、ファッション誌であり、ワイドショーであり、庶民の暮らしに密接に関わっていたようです。


それでは、画面からはみ出すような、勢いのある絵を描き人気を博した「武者絵の国芳」歌川国芳の人となりと合わせ、作品の紹介をしていきます。

まずは、第1章の「ヒーローに挑む」から。
歌川国芳が得意とした歴史上や物語に登場するヒーローの姿を描いた「武者絵」。それは、弟子の芳年たちにも受け継がれていきました。その国芳や弟子がヒーローたちをどのように表現したかがわかる章です。
斬新なデザイン力と奇想天外なアイデアで、浮世絵の枠にとどまらない魅力を持つ作品を多数生み出した国芳は、江戸を生きる人々をどう喜ばせるか、どう驚かせるかということを次々に考え、庶民もそれを楽しんでいたのではないかと佐々木さんは言います。

<チラシ画像>

続いては、第2章の「怪奇に挑む」
国芳は、血がほとばしる残虐な場面を描いた作品が多数ありますが、弟子もまたそれを受け継ぎました。この章では「血みどろ絵」と呼ばれる作品を紹介しています。
特に、落合芳幾と月岡芳年が手がけた「英名二十八衆句」は全点を一挙公開しています。
衝撃的な表現だけでなく、血を表現するために染料ににかわを混ぜて光らすなどの工夫がほどこされているそうで、血しぶきもいろんな技巧で描かれています。

また、ある角度から見ると、無地の着物に模様が浮き上がって柄が見えてくる超絶技巧からは、その描かれている人の身分が見えてきます。生の作品でないと伝わらない技巧ですね。


作者や作品についてのエピソードがあり過ぎて、お聞きしているうちに、全5章の2章までしか紹介できないまま時間が足りなくなってしまいました。
ということで、続きは次週……


放送は、radikoのタイムフリー機能でお楽しみください。
また、この内容はYouTubeでも配信しています。

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放送エリア:福岡県全土、熊本、長崎、佐賀、大分、山口の一部と九州北部    
福岡局76.1MHz 北九州局82.7MHz 福岡タワー局 82.5MHz
パーソナリティ:佐藤ともやす
放送日時:毎週日曜日 10:30-11:30

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