音と旅する鉱物展 九州大学総合研究博物館コレクション(三菱地所アルティアム)

2019年最後の放送、12月29日は、年の瀬の慌ただしい時期に行くと、スッと抜ける感じでリフレッシュできる展覧会(とディレクターが言う)、三菱地所アルティアムで開催中、「音と旅する鉱物展 九州大学総合研究博物館コレクション」をご紹介します。

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この番組は、毎週日曜の朝にお届けする、「文化の楽しみ方」が わかる、見つかる、共有できる! カルチャー、アートプログラム、 
明治産業プレゼンツ「OUR CULTURE, OUR VIEW」。 
あなたの暮らしを豊かにするヒントを、 オリジナルな視点(VIEW)を持ちあわせるゲストとのトークや、 はたまた、パーソナリティが展覧会に突撃したりし、お伝えします。 
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九州大学に石の博物館があることを全く知らなかった……という、
ともやすさんと野村D。展覧会場に潜入です。
音楽家の原摩利彦さんが手がけた音と共に、鉱物を見る今回の展示。
公開前日の会場を、原さんご本人に解説いただくという貴重なインタビューです。

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原 摩利彦 音楽家。1983年生まれ。京都大学教育学部卒業。同大学大学院教育学研究科修士課程中退。
音風景から立ち上がる質感・静謐を軸に、ピアノを使用したポスト・クラシカルから音響的なサウンド・スケープまで、舞台・現代アート・映画など、さまざまな媒体形式で制作活動を行う。
(三菱地所アルティアム:音と旅する鉱物展より)
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原摩利彦さんは、展示する鉱物のセレクト、展示構成の検討など、企画に協力いただきました。
野田秀樹率いるNODA・MAPの「贋作 桜の森の満開の下」では舞台音楽を30年ぶりに一新する大役に抜擢され、舞台「Q」のサウンドデザインを手がけるなど、第一線で活躍するアーティストとのコラボレーション・プロジェクトも精力的に行っている原さんですが、鉱物に音をつけるという体験は、まったく初めてだったそうです。

所狭しと並んでいた九州大学の博物館で石と向き合い、実際に石を叩いてイメージを膨らませていったと言います。

「TIME #1 内包された時間」
ここで展示されるのは、珪化木、隕鉄、天河石。
3つの展示台の中に、振動スピーカーを設置しています。
台の天板と鉱物を振動させることで、それぞれの鉱物から音がするかのように響きます。

石に耳をつけて、その中から聞こえてくる音をイメージし表現しました。

―ともやす 石が生きているように見えてきますね。

―原さん そうですねー、石としての変化は、止まってしまっているのに。そう感じられる人間の感覚というのがおもしろいですよね。



「TIME #2 時間が止まった森」
ここは、時代や産地が異なる大小様々な鉱物を展示しています。
原さんがフィールドレコーディングで集めた雨、風、波の音やシンセサイザーの音を編集したものが流れています。

―ともやす 石としてできた年代も、存在した期間も違う、それぞれ全く違う物が、この同じ空間に存在すると、一つの大きなまとまりとして感じられるのが不思議ですね。

―原さん 音楽の作曲は、英語でコンポジションといいますが、コンポジションって配置するという意味があるんです。
まさにいろんな時代、いろんな所の、鉱石をここに配置することで、ひとつのコンポジションが生まれるといいますか、そういう空間です。
それにともなって、いろんな音を配置しています。
各部屋の音が重なり合っても、美しく聴こえるように工夫を凝らしてます。


最後の部屋「SPACE」
約80個の多種多様な鉱物が並びます。
ここでは、水平方向に音が広がる4つの無指向性スピーカーと、直線的に音が跳ね返るような2つの超指向性スピーカーの6つを設置。

それぞれのスピーカーから全部違う音が出て、音が動いたり、どこから音が聴こえてくるのかが分からなかったりします。
この空間を立体的に聴こえる音が満たしています。

原さんが最初に叩いて『いい音がする』と直感を得た、サヌカイトの音を実際に聞かせていただきました。

―ともやす 最初、音と鉱物の展示ってどんなんだろう?と想像がつかず、全部叩けるのかな?とかドキドキしていたんですよ。さすがにそういうわけではないんですね(笑)

―原さん 九州大学の博物館では、全部叩かせてもらいましたけど(笑)
サヌカイトは鳴りましたが、それ以外の石はいまひとつ音が出なかったりしたので、鉱物をイメージして作った作りました。曲というか、より鉱物に近づきたいと思い、鉱物が経てきたであろう時間に流れていた音……水の音や、振動スピーカーなどのいろんなスピーカーを使って聴こえ方の工夫を施しました。

ー原さん 20億年という、とてつもなく長い年月を経てきた鉱物もあり、その年月を感じられるのは人間。
鉱物の結晶の形を見て美しいと感じるのも人間。
鉱物と人、音と人との関係を考えられる展覧会になったかなーと思います。

ーともやす 手掛けられてどうでしたか?

ー原さん 難しかったです(笑)実際、どこまで近づけられるか不安だったんですが、今出せる一番の提案ができたという気はしています。

ーともやす 原さんの一番のお気に入りの石は?

ー原さん ノウ。あのうにょうにょーとした感じが好きです!ウルトラQみたいですよね(笑)


来場した時その時々で違う音、そして他の部屋からの音も聴こえてきますが、その音も濁らず、混ざり合うように設計しています。

鉱物に詳しくはないという方も、また全世界の鉱物ファンの皆さんも、原さんの音と一緒に見ることで、違った見え方をするかもしれません。
鉱物がここまで経てきた時空を感じてみてください。


番組内でお届けした音楽は
♪サニーデイ・サービス さよならプールボーイfeat.MGF 原摩利彦リミックス
♪映画「駅までの道を教えて」 原摩利彦で駅までの道を教えてテーマ


ぜひradikoのタイムフリー機能でお楽しみください。
また、この内容はYouTubeでも配信しています。


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発信局:LOVE FM(http://lovefm.co.jp/)
放送エリア:福岡県全土、熊本、長崎、佐賀、大分、山口の一部と九州北部    
福岡局76.1MHz 北九州局82.7MHz 福岡タワー局 82.5MHz
パーソナリティ:佐藤ともやす
放送日時:毎週日曜日 10:30-11:30

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