福岡人なら知っておきたい仙厓さん「仙厓―小西コレクション」事前解説編(福岡市美術館)
11月3日は、福岡市美術館の2階。草間弥生の作品が見えるエスプラナードから、「仙厓 小西コレクション」の特集をお届けします。
この番組は、毎週日曜の朝にお届けする、「文化の楽しみ方」が
わかる、見つかる、共有できる!
カルチャー、アートプログラム、
明治産業プレゼンツ「OUR CULTURE, OUR VIEW」。
江戸時代、日本最初の禅寺である聖福寺の住職を務めた禅僧の仙厓さん。
親しみやすい書画を通して禅の教えをわかりやすく伝えたことから「博多の仙厓さん」と呼ばれ慕われてきました。
今回、福岡市で証券会社を経営されていた小西友次郎氏が収集し、ご子息よりご寄贈いただいた作品の数々を福岡市美術館 学芸員の宮田さんに、ご紹介いただきました。
福岡に住む者としては、今更(?)聞けない仙厓さんについてお聞きしています。
仙厓さんの命日のこの時期、毎年、福岡市美術館では、展示を行っているそうです。
200点以上あるコレクションの9割以上が、福岡の名立たる経済人からの寄贈で、1日1枚は描いたのではないかというくらい作品数が多いそう。
禅宗の僧として懐が深く、いろんな身分の人たちに教えを説いていったと言われている仙厓さんの生まれは岐阜。
地元を始めとした複数のお寺で修業を積んだ後、聖福寺の住職として博多にやってきたのが、39歳の頃で、禅画を描き始めたのは、それからではないかと考えられています。
ーともやす 地方とは言え、由緒正しきお寺の住職に抜擢されるほどの優秀な禅僧であった仙厓さんが、多宗派というのでしょうか、他の宗教にも理解があって、門戸を広げ教えを説いていったというのは面白いですね。
ー宮田さん 後で作品を見ていただくとわかるのですが、仙厓さんは、円相図にはっきりと「宗派にこだわるべきではない」と描いています。
これは、仙厓さんの一生のテーマであると思うのですが、「ものごとを区別することなく、分け隔てなく接していく。そういう心構えが大事である。」
というのを、若いころから変わらずに持ち続けていたようです。
ーともやす 福岡に来たころから絵を描き始めたという理由に、興味が深まりますね。
ー三好P 例えば、禅の教えや自分たちの哲学を伝えるのに、言葉よりも、絵のほうがわかりやすかったということでしょうか?
ー宮田さん その通りです!
お坊さんが絵を描くということは一般的ではあるんです。作品を前にして禅問答をするのですが、そういうときの絵は、だいたいかわいくないです(笑)
仙厓さんの作品も、若いころから年代順に並べていくと、画風の変化が手に取るようにわかります。
禅僧として教えを説き、若い人たちを指導するための真面目な絵から、住職を引退したあたりに、作風が明るくゆるくなっています。
言葉を尽くして説明するより、感覚を伝えることによっての悟りのエッセンスというか。絵を見ての心の動きを体験させるというか。
絵を通した心の動きを大事にしていますね。
その心の動かし方が、笑いとか、かわいらしさだったのかなと思います。
ー三好P 単純にゆるくてかわいいだけではなく、後からわりと考えさせられる。
入口浅く、奥行深くという感じで、教えがが多いなと思ったことがあります。
ー宮田さん 誰に、何を、どうやって伝えるのか、
ということを、大事にしているのかなと感じます。
相手に応じて、いろんな引き出しを使い分けることができる、宗教家としての懐が深い人です。
ー三好P ご自身の中に、哲学のようなものがしっかりあり、理解して、咀嚼できているからこそ、緩くも硬くも伝えられるいうことなんでしょうね。
ー宮田さん それが、後にいろんな人に絵を求められ、描いたという理由でしょうね。
コレクションには、茶器や文房具などの私物もあり、仙厓さんの人柄含めて、すべて欲しいと願ったコレクターの思いが伝わってきます。
作品だけではなく、作家の私物が欲しいってなかなかないと思うのですが……
どうも、仙厓さんが知り合いにあげたものが回りまわって、手にしているようなんです。
ー三好P 今回、展覧会に訪れる人の変化はありますか?
ー宮田さん これまでは当然、仙厓さんを知っていて、その作品を見に来るという方が多かったのですが、近ごろは、仙厓さん自身は知らないけれども、なんだかキャラクターがかわいいからと見に来ている若い方が増えてきました。
時代が変わってきたのかなと感じています。
それをきっかけにでも、仙厓さんの禅画を知ってもらえるといいですね。
真面目な絵を描く仙厓さんも、かわいらしい動物の絵を描く仙厓さんも、どちらも同じ人ですからね。
次週は、いよいよコレクションを見たスタッフの感想をもとに、作品について宮田さんから解説いただきます!
この放送を聞いて、ぜひみなさんも福岡市美術館へ足を運んでみてください。
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ぜひradikoのタイムフリー機能でお楽しみください。
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はたまた、パーソナリティが展覧会に突撃したりし、お伝えします。
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江戸時代、日本最初の禅寺である聖福寺の住職を務めた禅僧の仙厓さん。親しみやすい書画を通して禅の教えをわかりやすく伝えたことから「博多の仙厓さん」と呼ばれ慕われてきました。
今回、福岡市で証券会社を経営されていた小西友次郎氏が収集し、ご子息よりご寄贈いただいた作品の数々を福岡市美術館 学芸員の宮田さんに、ご紹介いただきました。
福岡に住む者としては、今更(?)聞けない仙厓さんについてお聞きしています。
仙厓さんの命日のこの時期、毎年、福岡市美術館では、展示を行っているそうです。
200点以上あるコレクションの9割以上が、福岡の名立たる経済人からの寄贈で、1日1枚は描いたのではないかというくらい作品数が多いそう。
禅宗の僧として懐が深く、いろんな身分の人たちに教えを説いていったと言われている仙厓さんの生まれは岐阜。
地元を始めとした複数のお寺で修業を積んだ後、聖福寺の住職として博多にやってきたのが、39歳の頃で、禅画を描き始めたのは、それからではないかと考えられています。
ーともやす 地方とは言え、由緒正しきお寺の住職に抜擢されるほどの優秀な禅僧であった仙厓さんが、多宗派というのでしょうか、他の宗教にも理解があって、門戸を広げ教えを説いていったというのは面白いですね。
ー宮田さん 後で作品を見ていただくとわかるのですが、仙厓さんは、円相図にはっきりと「宗派にこだわるべきではない」と描いています。
これは、仙厓さんの一生のテーマであると思うのですが、「ものごとを区別することなく、分け隔てなく接していく。そういう心構えが大事である。」
というのを、若いころから変わらずに持ち続けていたようです。
ーともやす 福岡に来たころから絵を描き始めたという理由に、興味が深まりますね。
ー三好P 例えば、禅の教えや自分たちの哲学を伝えるのに、言葉よりも、絵のほうがわかりやすかったということでしょうか?
ー宮田さん その通りです!
お坊さんが絵を描くということは一般的ではあるんです。作品を前にして禅問答をするのですが、そういうときの絵は、だいたいかわいくないです(笑)
仙厓さんの作品も、若いころから年代順に並べていくと、画風の変化が手に取るようにわかります。
禅僧として教えを説き、若い人たちを指導するための真面目な絵から、住職を引退したあたりに、作風が明るくゆるくなっています。
言葉を尽くして説明するより、感覚を伝えることによっての悟りのエッセンスというか。絵を見ての心の動きを体験させるというか。
絵を通した心の動きを大事にしていますね。
その心の動かし方が、笑いとか、かわいらしさだったのかなと思います。
ー三好P 単純にゆるくてかわいいだけではなく、後からわりと考えさせられる。
入口浅く、奥行深くという感じで、教えがが多いなと思ったことがあります。
ー宮田さん 誰に、何を、どうやって伝えるのか、
ということを、大事にしているのかなと感じます。
相手に応じて、いろんな引き出しを使い分けることができる、宗教家としての懐が深い人です。
ー三好P ご自身の中に、哲学のようなものがしっかりあり、理解して、咀嚼できているからこそ、緩くも硬くも伝えられるいうことなんでしょうね。
ー宮田さん それが、後にいろんな人に絵を求められ、描いたという理由でしょうね。
コレクションには、茶器や文房具などの私物もあり、仙厓さんの人柄含めて、すべて欲しいと願ったコレクターの思いが伝わってきます。
作品だけではなく、作家の私物が欲しいってなかなかないと思うのですが……
どうも、仙厓さんが知り合いにあげたものが回りまわって、手にしているようなんです。
ー三好P 今回、展覧会に訪れる人の変化はありますか?
ー宮田さん これまでは当然、仙厓さんを知っていて、その作品を見に来るという方が多かったのですが、近ごろは、仙厓さん自身は知らないけれども、なんだかキャラクターがかわいいからと見に来ている若い方が増えてきました。
時代が変わってきたのかなと感じています。
それをきっかけにでも、仙厓さんの禅画を知ってもらえるといいですね。
真面目な絵を描く仙厓さんも、かわいらしい動物の絵を描く仙厓さんも、どちらも同じ人ですからね。
次週は、いよいよコレクションを見たスタッフの感想をもとに、作品について宮田さんから解説いただきます!
この放送を聞いて、ぜひみなさんも福岡市美術館へ足を運んでみてください。
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【仙厓 ー 小西コレクション】福岡市美術館会期:10月1日(火)〜12月1日(日)観覧料:一般 200円(150円)、高大生 150 円(100円)、中学生以下 無料※( )内は20 名以上の団体料金。
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