見る!撮る!Dive to 写真カルチャー DAY2(ゲスト:おくスタジオ奥勝浩さん)

9月1日の放送は、先週に続き、福岡市の写真家「おくスタジオ」の奥勝浩さんをお招きして、「見る!撮る!Dive to 写真カルチャー DAY2」をお届けします。

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この番組は、毎週日曜の朝にお届けする、「文化の楽しみ方」が わかる、見つかる、共有できる!カルチャー、アートプログラム
明治産業プレゼンツ「OUR CULTURE, OUR VIEW」。

あなたの暮らしを豊かにするヒントを、 オリジナルな視点(VIEW)を持ちあわせるゲストとのトークや、 はたまた、パーソナリティが展覧会に突撃したりし、お伝えします。
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先週は、写真を『見る側』の楽しみ方を教えていただきました。
今週は、『撮る側』のお話し、そして、ともやすさんが、今回のインタビュー中にも、どんどん興味が深まっていった、奥さんの写真教室の様子を伺いました。

まず、奥さんご自身の作品のお話しから。
ともやす 奥さんの作品は、人物の写真が多いですよね。それぞれ、その方がどんな人なのかなとイメージが広がるんですけれども……

奥さん  私は、ダンサーの方を撮ることが多いんです。元々、人を撮ることが好きで、人物の体の動きとか、身体の美しさ。顔だけではなく、体にも表情があると思っています。
ダンサーの人達って、身体全体を使って表現をするのが、並のモデルよりかはるかに上手いんです。


撮影をするときは、ベリーダンス、ポールダンスなど、そのダンサーが使う音楽を流し、実際に踊ってもらいながら、どんどんシャッターを切っていきます。
そして、2030枚 シャッターを切ったところで、一旦止め、モニターをモデルさんと一緒に見ながら、「この動きは良かったからもう一回やって」とか、「この時は、もうちょっと顔を反対に向けて」とか、やり取りを繰り返しながら撮るそうです。
奥さんの写真から、躍動的な動きを感じるのはそういうことなんですね!

フィルムの時代には、最初の一枚だけポラロイドで写して確認をし進めていくしか方法がなかったそうです。デジタルで、すぐ動きを確認できるのは大きなメリットですね。


でも、奥さんは、フィルムの画質が好きだそうで、デジタルで撮ってから、あえて、暗いところを潰し気味にしたり、白いところをわざと飛ばし気味にしたりして、フィルムの仕上がりのように、全体にメリハリをつける作業することが多いそうです。

そんな理由から、未だにフィルムが好きな人も多いと言います。

奥さん 写真教室の生徒さんも、デジタルで撮り始めますが、ある程度撮れるようになると、フィルムカメラを買う人が結構います。
フィルムで撮ると「ネガフィルム」という物質が残るので、物として持ちたいっていう意識もあるみたいですよー。

デジタルの良さ、フィルムの良さがそれぞれ分かったところで、プロの目から見た「被写体」の選び方について聞いてみました。


奥さん 街を歩いたり、海や山に行ったときに、そこで写真を撮ったとします。割とみなさん、たまたま自分が立ち止まった所で、カメラ構えてシャッターを一回切って終わりなんですよね。
シャッターを切った後、そのままずーっとファインダーを覗いて、自分は、写真のフレームで見えてる範囲のどこに惹かれたんだろうと、ちょっと考えてみるんです。


それをやらないと、ただ、だだっ広く写るだけなんだそう。
広く見える画面の中のどこに惹かれたのかを、ちょっと考えてみて、それが「花」だと分かったら、花をもっと大きく撮る。
そのために自分がもっと前に行くとか、望遠レンズにするとか、そうするとその場で自分が感じた印象に近い写真になる。


奥さん 一番簡単なやり方は、とにかく大きくとる!撮りたいものを画面からはみ出すぐらい大きくとる!
よく、あれもこれも画面に入れたいからだと思いますが、カメラを構えて後ろに下がっていく姿を見かけます。
あれもこれも画面に入るっていうことは、余計なものがたくさん入って、一番撮りたいものの印象が、どんどん弱くなっていくということですよね?
だったらその逆で、取りたいものをなるべく大きく撮る。そうすると、見た人もこれが撮りたかったんだなっていうことが分かるわけです。伝わりやすいですよね。

奥さん 自分の見る位置が変わると、その後ろの風景が変わってきたり、前後の重なり具合が変わってくるので、色々試してたくさん撮る。
立ったり、座ったり、高さを変え、たくさん撮ってから選ぶんです


慣れてくると、最初から、どう撮るといいっていうのが、想像がつくようになってくるので、効率良く撮れるようになってくるんですって。
ちなみに奥さんくらいになると、街中で撮影している人のスタイルや動きを見ただけで、その人の写真の出来まで想像つくようになるそうですよ(笑)


さて、奥さんの写真教室「イメージラボ写真教室」はどんな感じなんでしょう。

奥さん 一人一人違う個性を伸ばしてあげるのが、私の務めだと思っています。
違うのは当たり前。よく大学のゼミや、他の写真教室で、みんな似たような写真になってしまっているを見るんですけれども……。それじゃあ、意味がないなと思うんですよ。

うちの生徒さんの作品の場合でも、私個人としてはこういう作品は嫌いだけれども、あなたがやりたいんだったら手伝うよという姿勢です。

ともやす それは、結構、難しいですね。その気持ちは本人には伝えるんですか?

奥さん なかなか難しいし、辛いですけど(笑)。
個人的には、こういうの撮らないし、撮ろうとは思わないけれども……。でもあなたはやりたいんでしょ?じゃあこうしたら?こうやってみたらいいんじゃないっと。

ともやす そのやり取りも面白いですね(笑)

奥さん 幸い私の教室には、それでもやってみるというような、情熱がある方が多く残ってくださってるんです。
その作品が、どうかというのは、個展などで作品を展示してみて、見ず知らずの方が見たときの評価で測っていけばいいと思うので……。私の評価が絶対というわけではないと思っています。
世の中には、違う考え方がたくさんあるわけで、公の場にその作品を出してみないとわからないと思っています。


延べ2000人以上が奥さんの教室を卒業していますが、中にはプロカメラマンになられてる方もいらっしゃるそうで、修了生、在籍中の人で定期的に集まって、コンテストをやったり、今度個展をやる人が、そこに候補の作品を見せに来たりということがあるそうです。

奥さん 教室としては年に1回、美術館を借りて大規模な作品展をやっています。
作品の大きさとか点数を限定するのではなく、一人あたり壁面を〇メートル使っていいよ。使いたければ天井まで使っていいよという感じなので、どうレイアウトするかを自分で考えるスタイルです。
1点だけ出す人、34点並べる人、立体物を作る人もいます。そうなると、もう写真を使ったインスタレーションみたいなものになってきますね。中には、これどうやって撮ったんだっていうものもありますね。


今年は 919日から、福岡アジア美術館の7階企画ギャラリーにて、イメージラボ写真教室第19回作品展が開催されます。
是非足をお運びください!


ともやす 最後に、奥さん自身の今後の展開を教えて下さい。

奥さん 『写真というモノ』を作りたいと思っています。
写真とう紙の上にペラってある、薄くて軽いものじゃなく、例えば手に持ってずしっと重さを感じるとか、厚みを感じるとか、そういう物質としての映像画像を作りたいなと、今実験をしているところです。
キャンバス地みたいな紙や、分厚いボードにプリントして、その上に透明アクリル を塗って厚みを増してみたり、レジンってありますよね。あれで写真を包んでしまったらどうなるんだろうとかそういう実験をいろいろやってるところです。
その写真を手で持ってみて、重さを感じながら表面の質感を触ってほしいなと。
ただ壁に飾ってある写真ではなくて、手に持って重さを感じながら、触覚も使いながら見てほしいと考えてます。


写真を見る、撮るという文化は、多くの方が 日常的に触れている世界ですが、今回の奥さんの話を伺って、もっと楽しめるチャンスがあるんだなぁと感じました。

最後に奥さんにとって心に残る写真家・作品についても伺っています。
ぜひ、放送をお聞きください。
(ご紹介したのは、杉本博司/『SEASCAPES』 『THEATERS』 Wax MUSEUM』


この内容はYouTubeでも配信しています。
 ♬ 明治産業 presents「OUR CULTURE, OUR VIEW」 


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