「ラファエル前派の軌跡」久留米市美術館(ゲスト:学芸員 佐々木奈美子さん)
7月7日(日)七夕の放送は、「行ってみよう!美術館散歩《久留米市美術館編》」
展覧会「ラファエル前派の軌跡」を先週に続きお届けします。
この番組は、毎週日曜の朝にお届けする、「文化の楽しみ方」が
わかる、見つかる、共有できる!
カルチャー、アートプログラム、
ぜひ、先週の導入部分と、今週とセットで聞いてください!
当時、イギリスの産業革命で起こった時代の変化。
経済が急激に発展して、人々が合理性や効率性を求めたときに、
手の仕事が急速に失われていくのを見たラスキンは、
そこに美しさを見出し、これは残していくものであり、
ちゃんと評価の俎上に上げるものと判断した……。
ー三好P 2019年の今、この展覧会がある意味はここにあるのかな
と僕は思いました。
ー佐々木さん そこを見ていただけるとホントに嬉しいです!!
19世紀の古き良き時代の絵画を観てくださいっていうのも、もちろんあるんですが、
当時、彼らが抱えていた問題意識とか、この絵が生まれた背景とかっていうのは、
今の時代だからこそ、アクチュアリティがあって、同じ問題意識なのかなっていうはありますよね。
それが、石炭なのか、機械なのか、重工業なのかっていうのと、
今だと、AIとかなのでしょうか。
私たちは、大きな時代の変化の中で、戸惑ったり、不安になったりしますよね。
ラスキンの著作も、最初は熱狂的に、若い層にも受け入れられ読まれていました。
そのうち時代とともに、それは古い思想だということで、一度は
忘れられていくんですが、世の中が不安になると、また読まれる。
社会の変化が起こった時に、彼らが直面していた問題とか、
湧き起こってくる疑問とかと、今の変化に対する私たちの問いみたいなものって、普遍的なのかもしれないかもしれないですね。
深読みし過ぎてはいけないんでしょうけど、あまりにも似たところがあるんですよね~
ー三好P 手の仕事に回帰するとか、工芸をもう一度評価するとか……そういう流れが、今まさにあります!
ー佐々木さん 実は最初のラファエル前派は、5年くらいしか続いてないらしいんです(笑)
若い学生の運動なので、長続きしなかったそうです。
その後、ラスキンとその仲間たちは、いろいろと形を変えて、制作活動をするのですが。
最初の第1期ともいえる、たった、5年間の学生たちの活動が、なぜこんな風に展覧会が組まれ、これまでも何度も開催されていたか……
それが、そこにあるのではないでしょうか。
→ → → → →
ー佐々木さん この展覧会をどんな展覧会ですか?
と聞かれたときが、一番困るのですが……
「こうです」って言い切れない物をいっぱいはらんでいる展覧会なんです。
ラスキンを軸に、ラスキンの思想を取り巻く人々。
ラスキンの影響が伝わっていく人々。
未完成の物の中に可能性がある。
多様性の中に進歩がある。
画一性より多様性。
ラスキンはと主張しています。
そのラスキンの主張に影響を受けた作家たちが、
ラスキンをどう読むか、どうとらえるか、
どう解釈して芸術にするかが、人それぞれで、
その表れが一人ひとり違うので、
結果、展覧会として見たときに、バラバラな感じになってしまうんです。
→ → → → →
ラスキンの思想についてのトークは尽きません。
―三好P ラスキンの言葉や思想を受けて、結果、個性で突き抜けていくエネルギーを得た作家たちの展覧会でしたね。
だからパッと見、バラバラのようで、根っこの部分を突き詰めていくと、
そこには、ラスキンの言葉や哲学が支えていたものがある。
ラスキンのことは言ってないけど、見えない中心にラスキンがいる。
ーともやす そうね!ラスキンが見えるね!
ー佐々木さん それが見えるとありがたいですね~。
しかもきれいな円じゃなくて楕円なイメージ(笑)
ー三好P ラスキンめぐる生態系だよ。ラスキンエコシステムだよ!
ー佐々木さん それ!次のギャラリートークで使ってもいいですか!?
そもそもが、一人の少年の軟らかい心に刺さった一枚の小さい挿絵だったと
思うとエモい?ですね(笑)
―佐々木さん この展覧会の一番のポイントを、今回お二人が言ってくださったので、これ以上の感謝がないくらいなんですが。
実はもっと、別の角度から見ても面白くて。
ラスキンの言う、自然は、自然でもあり、本性でもあるので、
本性にしたがって人間が集まると、喧嘩はするわ、男女の間違いはおこるわで、
サスペンスドラマや昼ドラになりそうなネタがたくさんあるんです。
他にも、登場している人物が、みんな一度表舞台から失脚した経験がある人とか。
一度、失敗して、もう一度、世の中に求められて出ていくっていう人たちなんです。
当時としては、確信性が潜んでいる作品が多く、やはり自分の信じるものを
貫いて、戦っていた人たちなんだろうなと改めて思います。
ー三好P やっていること自体の本質が、普遍的だったんでしょうね……。
ー佐々木さん その通りだと思います!
―ともやす ゆっくり何度か見ると、いろんな文脈を感じることもできると思います。後!休憩テラスがすごいいいですね♪
ー佐々木さん ありがとうございます。借景ていう言葉がぴったりなんです。
石橋文化センターの四季折々の花で、窓の外に季節が変わっていくのが見られるので、
お越しいただいたら、ぜひ、ゆっくりとお過ごしいただきたいと思います。
⇨⇨⇨⇨⇨
「ラファエル前派の軌跡 ー ターナー、ラスキンから
ロセッティ、バーン=ジョーンズ、モリスまで」
久留米市美術館
2019.6.20(木)~2019.9.8(日)まで開催中です。
⇨⇨⇨⇨⇨
今の時代の変化と、19世紀と。
時は違えど、普遍的なモノとはなにか?を考えながら鑑賞していただくと、
より楽しめるのではないでしょうか。
そこで!
ペア5組 10名の方にチケットプレゼントです。
ご希望の方はメールにお名前・住所・電話番号をご記入の上
761@lovefm.co.jp までメールでお申し込みください。
できれば番組へのご感想、最近行った展覧会の感想などを添えていただけると嬉しいです。たくさんのご応募お待ちしております。
番組の模様は、ぜひRadikoのタイムフリー機能でお楽しみください。
展覧会「ラファエル前派の軌跡」を先週に続きお届けします。
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この番組は、毎週日曜の朝にお届けする、「文化の楽しみ方」が
わかる、見つかる、共有できる!
カルチャー、アートプログラム、
明治産業プレゼンツ「OUR CULTURE, OUR VIEW」。
あなたの暮らしを豊かにするヒントを、
オリジナルな視点(VIEW)を持ちあわせるゲストとのトークや、
はたまた、パーソナリティが展覧会に突撃したりし、お伝えします。
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久留米市美術館に潜入して、「ラファエル前派の軌跡― ターナー、ラスキンからロセッティ、バーン=ジョーンズ、モリスまで」を学芸員の佐々木さんにご紹介いただきました。当時の美術教育の主軸をなす、ラファエルという作家の代表的な画風に対して生まれたイギリス美術のムーブメント「ラファエル前派」ですが、ここに支柱となった美術評論家のラスキンの力が加わり、その後のイギリスの美術シーンが多様化していきます。
ぜひ、先週の導入部分と、今週とセットで聞いてください!
当時、イギリスの産業革命で起こった時代の変化。
経済が急激に発展して、人々が合理性や効率性を求めたときに、
手の仕事が急速に失われていくのを見たラスキンは、
そこに美しさを見出し、これは残していくものであり、
ちゃんと評価の俎上に上げるものと判断した……。
ー三好P 2019年の今、この展覧会がある意味はここにあるのかな
と僕は思いました。
ー佐々木さん そこを見ていただけるとホントに嬉しいです!!
19世紀の古き良き時代の絵画を観てくださいっていうのも、もちろんあるんですが、
当時、彼らが抱えていた問題意識とか、この絵が生まれた背景とかっていうのは、
今の時代だからこそ、アクチュアリティがあって、同じ問題意識なのかなっていうはありますよね。
それが、石炭なのか、機械なのか、重工業なのかっていうのと、
今だと、AIとかなのでしょうか。
私たちは、大きな時代の変化の中で、戸惑ったり、不安になったりしますよね。
ラスキンの著作も、最初は熱狂的に、若い層にも受け入れられ読まれていました。
そのうち時代とともに、それは古い思想だということで、一度は
忘れられていくんですが、世の中が不安になると、また読まれる。
社会の変化が起こった時に、彼らが直面していた問題とか、
湧き起こってくる疑問とかと、今の変化に対する私たちの問いみたいなものって、普遍的なのかもしれないかもしれないですね。
深読みし過ぎてはいけないんでしょうけど、あまりにも似たところがあるんですよね~
ー三好P 手の仕事に回帰するとか、工芸をもう一度評価するとか……そういう流れが、今まさにあります!
ー佐々木さん 実は最初のラファエル前派は、5年くらいしか続いてないらしいんです(笑)
若い学生の運動なので、長続きしなかったそうです。
その後、ラスキンとその仲間たちは、いろいろと形を変えて、制作活動をするのですが。
最初の第1期ともいえる、たった、5年間の学生たちの活動が、なぜこんな風に展覧会が組まれ、これまでも何度も開催されていたか……
それが、そこにあるのではないでしょうか。
→ → → → →
ー佐々木さん この展覧会をどんな展覧会ですか?
と聞かれたときが、一番困るのですが……
「こうです」って言い切れない物をいっぱいはらんでいる展覧会なんです。
ラスキンを軸に、ラスキンの思想を取り巻く人々。
ラスキンの影響が伝わっていく人々。
未完成の物の中に可能性がある。
多様性の中に進歩がある。
画一性より多様性。
ラスキンはと主張しています。
そのラスキンの主張に影響を受けた作家たちが、
ラスキンをどう読むか、どうとらえるか、
どう解釈して芸術にするかが、人それぞれで、
その表れが一人ひとり違うので、
結果、展覧会として見たときに、バラバラな感じになってしまうんです。
→ → → → →
ラスキンの思想についてのトークは尽きません。
―三好P ラスキンの言葉や思想を受けて、結果、個性で突き抜けていくエネルギーを得た作家たちの展覧会でしたね。
だからパッと見、バラバラのようで、根っこの部分を突き詰めていくと、
そこには、ラスキンの言葉や哲学が支えていたものがある。
ラスキンのことは言ってないけど、見えない中心にラスキンがいる。
ーともやす そうね!ラスキンが見えるね!
ー佐々木さん それが見えるとありがたいですね~。
しかもきれいな円じゃなくて楕円なイメージ(笑)
ー三好P ラスキンめぐる生態系だよ。ラスキンエコシステムだよ!
ー佐々木さん それ!次のギャラリートークで使ってもいいですか!?
そもそもが、一人の少年の軟らかい心に刺さった一枚の小さい挿絵だったと
思うとエモい?ですね(笑)
―佐々木さん この展覧会の一番のポイントを、今回お二人が言ってくださったので、これ以上の感謝がないくらいなんですが。
実はもっと、別の角度から見ても面白くて。
ラスキンの言う、自然は、自然でもあり、本性でもあるので、
本性にしたがって人間が集まると、喧嘩はするわ、男女の間違いはおこるわで、
サスペンスドラマや昼ドラになりそうなネタがたくさんあるんです。
他にも、登場している人物が、みんな一度表舞台から失脚した経験がある人とか。
一度、失敗して、もう一度、世の中に求められて出ていくっていう人たちなんです。
当時としては、確信性が潜んでいる作品が多く、やはり自分の信じるものを
貫いて、戦っていた人たちなんだろうなと改めて思います。
ー三好P やっていること自体の本質が、普遍的だったんでしょうね……。
ー佐々木さん その通りだと思います!
―ともやす ゆっくり何度か見ると、いろんな文脈を感じることもできると思います。後!休憩テラスがすごいいいですね♪
ー佐々木さん ありがとうございます。借景ていう言葉がぴったりなんです。
石橋文化センターの四季折々の花で、窓の外に季節が変わっていくのが見られるので、
お越しいただいたら、ぜひ、ゆっくりとお過ごしいただきたいと思います。
⇨⇨⇨⇨⇨
「ラファエル前派の軌跡 ー ターナー、ラスキンから
ロセッティ、バーン=ジョーンズ、モリスまで」
久留米市美術館
2019.6.20(木)~2019.9.8(日)まで開催中です。
⇨⇨⇨⇨⇨
今の時代の変化と、19世紀と。
時は違えど、普遍的なモノとはなにか?を考えながら鑑賞していただくと、
より楽しめるのではないでしょうか。
そこで!
ペア5組 10名の方にチケットプレゼントです。
ご希望の方はメールにお名前・住所・電話番号をご記入の上
761@lovefm.co.jp までメールでお申し込みください。
できれば番組へのご感想、最近行った展覧会の感想などを添えていただけると嬉しいです。たくさんのご応募お待ちしております。